厚生労働省は平成25年2月22日に抗生物質などを使ってピロリ菌を取り除く除菌治療で健康保険を適用する範囲を、これまでの胃潰瘍や十二指腸潰瘍に加え、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(慢性胃炎)の治療にも拡大することを新たに認めました。
ピロリ菌は、胃の粘膜に感染することで慢性胃炎をひきおこし、その結果胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんを引き起こすおそれがあることが明らかになってきました。
ピロリ菌感染者は日本国内に3,500万名いると言われ、50代以上の感染率は50%を超えています。
ピロリ菌の除菌治療は胃・十二指腸潰瘍の発症を抑え、現在国内で毎年12万人いるといわれる胃がんの発症をある程度予防できるとの報告があり、将来胃がんと診断される方、亡くなられる方が減ることが期待されています。
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(慢性胃炎)に除菌治療を用いる際には、
ヘリコバクター・ピロリが陽性であることの確認
・尿素呼気試験(空気を吹いてから確認する検査)
・血液検査(血液検査で血中ヘリコバクター抗体を確認)
・ウレアーゼテスト(内視鏡検査で、胃の組織を採取して調べる検査)
胃内視鏡検査(胃カメラ)による、慢性胃炎の所見があることを確認
をする必要があります。
除菌治療は1週間薬(抗生物質2種類と酸分泌抑制薬1種類の計3種類)を内服します。
除菌治療の効果は70-80%になります。薬剤の抵抗性、喫煙などの条件によっても変化があります。